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一般の方へ:市民のための薬と病気のお話

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市民のための薬と病気のお話

病気の質問箱

腎・尿路疾患

Q1慢性腎臓病

A1

慢性腎臓病(CKD)とは?

高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などが心臓病や脳卒中のリスクを高めることはよく知られていますが、これと同じように腎臓の機能の衰えが腎不全や透析のリスクになるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高めることが明らかになり、「慢性腎臓病」という新しい診断名が広く使われるようになってきました。
慢性腎臓病は英語で書くとChronic(慢性)Kidney(腎臓)Disease(病)となりますので、頭文字をとって「CKD」とも呼ばれます。慢性腎臓病(CKD)の定義は「『尿蛋白陽性など腎疾患の存在を示す所見』または『腎機能低下(糸球体濾過量)が60ml/分/1.73m2未満』」が3ヶ月以上続く状態」となっています。
尿蛋白は健診などでお馴染みですが、(+)以上が陽性となります。試験紙法で尿蛋白陰性であっても、糖尿病や高血圧のある方では、より精密な「微量アルブミン尿」の検査を受けましょう。尿蛋白陽性に加えて血尿を認める場合や、尿蛋白が1日あたり0.5g以上出ている場合には腎臓専門医を受診して、腎 生検を含めた精査が必要になります。

腎臓の構造と役割

腎臓の大きさと位置は、両握り拳を作って、腰の後ろ、やや高めに当ててみると理解しやすいでしょう。縦横10~11cm×5~6cmで、厚みが4~5cmの左右一対ある臓器です。腎臓の基本的な役割は、血液に貯まった老廃物(不要物)を「尿」の形で身体の外に捨てることですが、腎臓の中を拡大してみると、この血液からの濾(こ)し出し(濾過(ろか)と言います)を効率的に行うために、毛細血管を毛糸の玉のようにして表面積を増やした「糸球体」という装置が見えてきます(図1)。1日の尿量は1.5~2リットルぐらいですが、腎臓では1日150~200リットルもの老廃物を含む水分が、この糸球体からボーマン嚢を通って尿として濾し出され、その99%が「尿細管」と呼ばれるところから再吸収され血液に戻っています。残った尿は老廃物をたっぷり含み、濃縮された状態で尿管から体の外へ出て行きます。

腎臓の構造

腎臓の構造

糸球体濾過量(GFR)とは?

CKDにおいて、腎機能低下の指標となっている糸球体濾過量(GFR)とは、糸球体からボーマン嚢へ最初の尿を濾し出す力を示すものですから、GFRの低下は腎臓の基本的な機能が衰えていることを意味します。腎臓の機能を調べる時によく使われているものに、採血検査でわかる血清のクレアチニン(Cr)濃度がありますが、これに年齢の情報を加えるだけで、推算糸球体濾過量(eGFR)が計算できます(図2)。この計算式は日本人の体格や体質に合わせて2008年に改訂され、腎臓のはたらきがどれ位低下したかを実感しやすい数値で表します。クレアチニン濃度だけでは、初期の腎機能低下に気づくのが遅れることがありますので、必ずご自分のクレアチニン濃度と年齢、性別を使って計算をしてみてください。計算式からわかるように、高齢になるほど、男性よりも女性において、CKDになりやすいことがわかります。CKDの重症度に基づいた診療計画も発表されています(図3)ので、ご自分がどの重症度になるかを考えてみてください。

慢性腎臓病(CKD)の重症度と診療計画

慢性腎臓病(CKD)の重症度と診療計画

eGFR計算機器

図2 eGFR推算フォーム
男性:eGFR=194×年齢-0.287×血清クレアチニン値-1.094
女性:eGFR=194×年齢-0.287×血清クレアチニン値-1.094×0.739

男女別に、ご自分の年齢、クレアチニン値を入力してください。

* 数値を半角にて入力後、eGFR以降の項目いずれかでクリックをしてください。
結果が表示されます。

  男性 女性
年齢
血清クレアチニン値 mg/dl mg/dl
eGFR    
病期ステージ    
重症度の説明    

(回答者:勝谷友宏)


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